ドラマの中でカウンセラーや心理療法を行う役柄として「臨床心理士」が登場することがあります。
ただ残念ながら、実際の臨床心理士は絶対にしないことや、誤解を与えかねない表現が含まれることがしばしばあります。

・臨床心理士がメンタルクリニックの院長である
可能性はゼロとは言えませんが、殆どのメンタルクリニックでは医師が院長です。
臨床心理士は医師法や保助看法に位置付けられた資格ではないため、その資格だけで医療機関を開業することはありません。
「診察」や「診断」をすることもありません。それができるのは(日本では)医師のみです。
臨床心理士は医師の指示に従って心理療法や心理検査を行うことができます。
臨床心理士資格のほかに医師免許を持っていれば、メンタルクリニックを開業することができます。
自分は臨床心理士でも、経営者として医師を雇いクリニックを運営することはできます。(その場合でも、院長は医師がなるでしょう。)

・クリニックの臨床心理士であれば催眠療法ができる
カウンセリング=催眠療法ではありません。心理療法の種類は現在400を超えると言われる中、催眠療法をする人もしない人もいます。
また催眠療法を行うのは、臨床心理士に限られたことではありません。特定の資格あるいは一般に認知されている資格がなくても催眠療法を行う人はいます。
また、催眠療法を行う場合でも、やたらに暗示をかけるとか、マインドコントロールを行うということはありません。

・臨床心理士が安易にクライエントの家を訪問する
基本的に臨床心理士は、心配だからという理由でクライエントの家を訪問するようなことはしません。
たとえクライアントのリスクが想定される場合でも、家族や関係者にそのリスクを知らせて動いてもらうなど、間接的支援を行います。
また、組織に所属する臨床心理士(産業保健スタッフの一員やアウトリーチ業務)が家庭訪問をする場合には、単身では動かず他の関係者と同行する形をとります。

臨床心理士という仕事を、広く皆さんに知っていただきたい気持ちはありますが、ドラマで扱っていただく時の脚本や演出ではきちんとした監修をお願いしたいと思います。