6年前の7月26日、津久井やまゆり園で事件が起きました。

裁判は2020年1月から3月まで開かれ、そこで被告人には自分の心情を訴える機会が何度も与えられました。
拘留中の面会をもとにした記事でも同様です。

臨床心理士として、被告人の病理と犯行動機には勿論関心がありますが、そればかりに偏る報道がなされたことには疑問を感じます。
「自分の主張や行為に注目してほしい」という犯罪行為者の欲求はどんどん満たされます。

一方で、卑劣な行為によって直接間接に被害を受けた方々のケアは未だ十分になされていないことは、なかなか気づいてもらえません。マスメディアも積極的には報じません。
自分達の職場を突如「世界を震撼させる重大犯罪の現場」にされた、法人職員の思いには殆ど関心が払われていないのは何故でしょう。
彼らは通常ありえないような被害を受けているにもかかわらず、悲鳴をあげることも憚られるような立場に立たされ、今も利用者支援を続けています。

当事者のある方は「法人名だけで悪者扱いされる」「その後の虐待報道や管理職の起こした事件のために他の職員が肩身の狭い思いをしている」と話してくれました。

犯行動機につながる要因として「障害者施設での労務経験」をあげる記事が多数見受けられましたが、それも余りに安易で無責任です。
多くの施設職員は利用者から叩かれたり支援を拒否されても虐待には走りません。
ほんの数年であっても、施設職員を経験し、その仕事は何かを適切に理解し業務に従事する人が圧倒的多数です。
犯罪行為者の述べる身勝手な理屈は、その行為を正当化する根拠にはなり得ません。

情報を受け取る私たち側の「情報リテラシー」が問われているように思います。


本厚木・海老名のカウンセリング EAPパートナー カウンセリング・オフィス