キャリア・カウンセリングでクライアントに「今の仕事を辞めたいと思ってるんです」と言われたら。あなたがカウンセラーだったらどうしますか?

 

EAPで企業カウンセリングをしているならば、カウンセリング費用を出しているのは企業ですから、その社員の方が会社を辞めたら企業に不利益が生じることになります。では引き留める方向でカウンセリングを進めて行くのがよいのでしょうか。

 

クライアントは今、仕事を辞めたいくらい悩んでいるのですから、まずその気持ちを批判せずに受け止めるのが基本です(受容)。<辞めたいと思うくらい悩んでいらっしゃるんですね>と、その通りに受け止めます。
時には<辞めたい気持ちと残って続けたい気持ちとでは、何対何くらいですか?>と尋ねます。「辞めたいが9ですかね」と言われることもあります。この時点でも、クライアントの中ではいろいろな葛藤があるはずです。

 

そこで今の仕事の状況、これまでの経過、クライアントを一番悩ませていることは何なのか、といったことを丁寧に伺っていきます。
クライアントは思いを言葉にしながら、自分自身の気持ちが実際にどう揺れているのかをありのままに感じ、理解していきます。カウンセラーはそのプロセスに寄り添います。

 

「辞めたい」と口に出した、その本当の意味は、語る中で徐々に整理されていきます。すると、“辞めるか辞めないか”という狭い枠組みから離れ、“本当はどうなることを望んでいるのか”“そのために足りなかったのは何だったのか”が見えてきます。

 

そして殆どの相談では「会社を辞める」とは異なる課題解決の方向に向かっていきます。クライアントの求める答えはクライアント自身が持っているーそのことを信じ、クライアントがその答えに辿り着けるように支援するのがカウンセラーの役割です。カウンセラーの望む方向にクライアントを誘導するようなことは当たり前のことですが決してしません。

 

傍目には“ただ話を聞いているだけでは?”と思われるかもしれませんが、カウンセリングはカウンセラー自身の覚悟や真摯な姿勢が問われる真剣勝負です。